体の中の糖分の話 - 食べ物がエネルギーになるまで
【ごはんやパンの正体】
ごはん、パン、麺類、お菓子。これらには**糖質**という栄養素が含まれています。糖質は体にとって一番大切なエネルギー源。
でも、食べたままの形では体は使えません。まず小さく分解する必要があります。
【 口から腸まで】
1. **口の中**:唾液に含まれる酵素が糖質を少しずつ分解
2. **胃**:胃酸で食べ物をドロドロにする
3. **小腸**:最終的に**ブドウ糖**という一番小さな糖に分解
ブドウ糖は、体が使える糖分の基本形です。これが血液の中に入って、全身に運ばれます。
【肝臓 - 体の糖分管理センター】
【肝臓の大切な仕事】
小腸で吸収されたブドウ糖は、まず**肝臓**に運ばれます。肝臓は体の中の「糖分管理センター」のような場所。
<糖分が多いとき>
- 余った糖分を**グリコーゲン**として保存
- さらに余った分は脂肪に変える
<糖分が少ないとき>
- 保存していたグリコーゲンを糖分に戻す
- 他の栄養素から糖分を作る
【グリコーゲン】
グリコーゲンは、糖分をたくさん集めて作った「糖分の貯金箱」のようなもの。肝臓と筋肉に貯められている。
【インスリン - 血糖値を下げる大切なホルモン】
<インスリンの正体>
**インスリン**は、膵臓(すいぞう)という臓器から出されるホルモン。血液中の糖分が増えると、自動的に分泌される。
<インスリンの働き>
インスリンは「糖分配達員」のような役割をします:
1. 血液中の糖分を見つける
2. 細胞に「糖分を受け取って!」と指令を出す
3. 細胞が糖分を取り込む
4. 血液中の糖分が減る
<どの細胞が糖分を使うの?>
- **筋肉**:動くためのエネルギーとして使う
- **脂肪細胞**:余った糖分を脂肪として保存
- **脳**:考えるためのエネルギーとして使う
【細胞の中でエネルギーが作られる】
<糖分からエネルギーができるまで>
細胞に入った糖分は、**ATP**というエネルギー通貨に変わる。これは体の中の「電池」のようなもの。
1. **細胞の中**:糖分が分解されて少しのATPができる
2. **ミトコンドリア**:細胞の中にある「発電所」で、たくさんのATPが作られる
糖分1個から、約38個のATPが作られます。とても効率的。
< ATPは何に使われる?>
- 筋肉を動かす
- 体温を保つ
- 脳を働かせる
- 心臓を動かす
つまり、生きていくのに必要な全てのエネルギー。
【グルカゴン - 血糖値を上げるホルモン】
< 血糖値が下がったらどうなる?>
朝ごはんを食べずに学校に行くと、フラフラしたり集中できなくなったり。これは血糖値が下がったから。
そんなときに活躍するのが**グルカゴン**というホルモン。
< グルカゴンの働き>
グルカゴンは「糖分補充係」のような役割をする。
1. 血糖値が下がったことを感知
2. 肝臓に「糖分を出して!」と指令
3. 肝臓がグリコーゲンを糖分に変える
4. 血糖値が上がる
【血糖値って何?なぜ大切なの?】
<血糖値の正体>
**血糖値**とは、血液の中にある糖分の量。
- 正常値:空腹時80-100mg/dL
- 食後:140mg/dL以下
<血糖値が高すぎると>
- 疲れやすくなる
- のどが渇く
- 太りやすくなる
- 将来糖尿病になるリスクが高まる
< 血糖値が低すぎると...>
- フラフラする
- 集中できない
- イライラする
- ひどいときは意識がなくなる
<血糖値ジェットコースター>
甘いものを一気に食べると、血糖値が急上昇し、その後急降下することがあります。これを「血糖値ジェットコースター」と呼ぶ。
これが起こると:
- 眠くなる
- 集中力がなくなる
- またすぐお腹が空く
【インスリンとグルカゴンのチームワーク】
絶妙なバランス
インスリンとグルカゴンは、まるでシーソーのように働く
- **インスリン**:「血糖値を下げろ!」
- **グルカゴン**:「血糖値を上げろ!」
この2つがバランスよく働くことで、血糖値が一定に保たれる。
健康な人の体では、この調整が24時間自動的に行われている。私たちが意識しなくても、体が勝手にやってくれている。
【日常生活で気をつけること】
< 血糖値を安定させる食事>
1. **ゆっくり食べる**:急激な血糖値上昇を防ぐ
2. **野菜から食べる**:糖の吸収を緩やかにする
3. **白米より玄米**:消化がゆっくりで血糖値が上がりにくい
4. **お菓子の食べすぎ注意**:血糖値ジェットコースターの原因
・ 運動の効果
運動をすると:
- 筋肉が糖分をたくさん使う
- インスリンの効きが良くなる
- 血糖値が下がる
- 気分もすっきりする
・ 規則正しい生活
- **朝ごはんを食べる**:一日のエネルギー源
- **適度な運動**:週3回、30分程度
- **十分な睡眠**:ホルモンバランスを整える
私たちの体は、食べ物から効率よくエネルギーを作り出し、血糖値を一定に保つ素晴らしいシステムを持っている。
**主な登場人物**:
- **インスリン**:血糖値を下げる
- **グルカゴン**:血糖値を上げる
- **肝臓**:糖分の管理センター
- **筋肉**:糖分の大きな消費者
これらが協力することで、私たちは元気に生活できる。
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