【消化吸収の始まり】**舞台:口〜腸**
例えば、チーズトーストや唐揚げを食べると、その中の脂肪分子が体内に入ってくる。
胃を通過した後、小腸に到着する。小腸では胆汁と膵リパーゼという消化酵素が働いて、脂肪を小さく分解する。
分解された脂肪は[モノグリセリド]と[脂肪酸]になる。これらは小腸壁を通り抜けて、[キロミクロン]という[脂質運搬体]に取り込まれ、血液循環へと移行する。
【血液循環による脂質輸送】**舞台:血液循環系**
キロミクロンは脂肪酸を含んで血液中を循環する。血管壁に存在するLPL(リポタンパク質リパーゼ)という酵素が作用し、脂肪酸を筋肉組織や脂肪組織に供給する。
脂肪酸の一部は脂肪細胞内に取り込まれ、エネルギー需要に備えて中性脂肪として貯蔵される。
【脂肪動員とエネルギー供給】**空腹時の代謝状態**
食事から時間が経過してエネルギー需要が高まると、**HSL(ホルモン感受性リパーゼ)**が活性化される。
脂肪細胞に蓄積された中性脂肪が分解され、遊離脂肪酸として血液中に放出される。
この遊離脂肪酸は、細胞内のミトコンドリアへと運ばれ、エネルギー産生の基質となる。
【ミトコンドリアでのエネルギー生産】**舞台:細胞内ミトコンドリア**
ミトコンドリアでは、CPT1(カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ1)を介して脂肪酸が取り込まれる。
脂肪酸は**β酸化**という代謝経路で段階的に分解され、アセチルCoAが生成される。
アセチルCoAはTCA回路(クエン酸回路)で酸化され、大量の**ATP(アデノシン三リン酸)**が産生される。
糖質が不足した状態では、余剰のアセチルCoAからケトン体が合成され、脳や心筋のエネルギー源として利用される。
【肝臓における脂質代謝制御】**舞台:肝臓**
肝臓では以下の重要な機能が行われている
- 血液中のキロミクロン残粒の回収・処理
- 糖質やアミノ酸からの脂肪酸合成(脂肪酸新生)
- **VLDL(超低密度リポタンパク質)**の合成・分泌
肝臓は体内の脂質代謝における中央制御装置として機能している。
ホルモンによる代謝調節**舞台:内分泌系**
脂質代謝は、複数のホルモンによって精密に調節されている。
- **インスリン**:脂肪合成を促進し、脂肪分解を抑制する同化作用
- **グルカゴン・アドレナリン**:脂肪分解を促進し、エネルギー動員を活性化する異化作用
これらのホルモンが相互に作用することで、エネルギー代謝のホメオスタシスが維持されている。
まとめ:脂質代謝の意義
脂質は単なる「肥満の原因」ではなく、生体にとって重要な役割を果たしている。
食後は効率的なエネルギー貯蔵を行い、空腹時には持続的なエネルギー供給を実現する。
糖質代謝やホルモン調節と密接に連携した、**高度に統合された代謝システム**。
脂質代謝基本理論
脂質代謝は、体内で脂質(脂肪酸や中性脂肪など)をエネルギーとして利用したり、貯蔵・合成・変換する一連の経路のことを指します。
🔶脂質の摂取・消化・吸収(腸)
🔶 血中輸送と組織への配布
🔶 脂肪酸の行き先(3つのルート)
🔷 肝臓での脂肪酸代謝
🔶 ホルモン調整:鍵を握るのはインスリンとグルカゴン
🔍 脂質代謝の要点まとめ
🧬 代表的な酵素と役割
重要|脂質(特に中性脂肪)は、最初に「リンパ系」を通って体内に入ってくる。
🧬 なぜ「脂質はリンパから流れる」のか?
✅ 結論から: 食事由来の脂質(特に中性脂肪)は、 まず「キロミクロン」に詰められて → リンパ管を経由 → やがて血液へ流れ込む。
🔁 消化・吸収・輸送の流れ(脂質だけ特別)
🧪 理由:脂質は「水に溶けない」から
中性脂肪やコレステロールは「疎水性」=水に溶けにくい 血液(=水系)にそのまま流すと沈んでしまう
➡よって小腸で「キロミクロン」という脂質輸送のカプセル(リポタンパク)に詰める
➡キロミクロンはリンパ系というゆるやかな流路を通ることで、少しずつ血中に放出できる
📍 どこで血液に合流するの?
リンパ管 → 胸管(thoracic duct) → 最終的に左鎖骨下静脈で血液と合流 つまり、脂質は最初「肝臓をスルー」して体内に入り、後から全身へ配達される。
🔍 この特徴が意味すること
🧠 まとめ
✅ 食事で摂った脂質は「キロミクロン」に乗って
✅ リンパ管を通ってゆっくり血中へ入り
✅ 最終的に全身の組織へ配られる
だからこそ、脂質代謝の旅は「リンパ」から始まる。
🧪 リポタンパク質の比較(キロミクロン・VLDL・LDL・HDL)
キロミクロン・VLDL・LDL・HDLは、脂質を運ぶ入れ物みたいなもの
「脂質を運ぶための宅配便トラック(=入れ物)」
リポタンパク質=脂質輸送カプセル 脂質(中性脂肪・コレステロールなど)は水に溶けないため、 そのままでは血液(=水)を流れることができない。
だから、体は💡「脂質をたんぱく質のカプセルで包んで、専用の宅配便トラックに乗せて運ぶ」 この“宅配トラック”が、4つのリポタンパク質。
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